2011年4月21日木曜日

インテリジェンス 武器なき戦争

インテリジェンス 武器なき戦争

手島龍一と佐藤優の対談。
インテリジェンスとは何か、その「ゲームのルール」を知るには、適している本だと思う。5年前に出版されているため、今読むと一部合わない点もあるが、インテリジェンスとは?交渉とは?という核心は今読んでも決して時代遅れではない。

以下印象に残った内容
「勝った者は白い歯を見せてはいけない。なぜならば、相手側が譲りすぎたことに気づき、交渉に禍根を残すからだ」


以下印象に残った要点

  • 知っていたとしても、決して知っているとは言わない。常に教えを乞う。
  • 交渉における自分バイアスを見越しての、自分に49%、相手に51%
  • 知らなくていいことは、質問しない。この世界は知りすぎてはいけない。
  • 情報源としての条件1.知りたい情報にアクセスできる2.知った情報を歪曲せずに伝えてくれる
  • 一番大切な事は、情報を集めることではなく、集まった情報の扱い方。そして、それを元にどう判断するか。そこには必ずリスクがある。


インテリジェンスに限らず、日常の人間関係や交渉事にも役立つかも。


言えないことと、言っても大丈夫なこと、の間で、うまく前者に触れないように後者だけを使って話を組み立てている。そして、お互いに距離をはかりながら、核心に迫ろうとし、これ以上は踏み込めない点までくるとスルリと躱す話術は、参考にしたい。

功利主義の読書術

役に立つという観点から本の読み方を紹介してくれる

31冊を取り上げ、佐藤優からみたエッセンスを取り上げている。時間が少ない自分としては31冊分のエッセンスを知りかつ、「こんな風に読むと役に立つ読み方ができる」と知ることができ、費用時間対効果は高いと思う。

一部ネタバレの本もあるので、取り上げられた本の中で実際に原著(?)読みたいヒトは、読み終わってからこちらを読んだ方がいいかもしれない。

資本主義の限界を知るには、相対化する必要がある。そのために社会主義についての知っておくのは有益
という考え方には賛成できる。これはイデオロギーだけでなく、国や文化、言語についても当てはめられると思う。

以下本文より
「プラグマティズム(実用主義)や功利主義の背後には目に見えない真理がある。読書を通じてその真理をつかむことができる人が、目に見えるこの世界で、知識を生かして成功することができるのである。この真理を神と言い換えてもいい。功利主義の読書術とは、神が人間に何を呼びかけているかを知るための技法なのである。」
以上引用終わり。

古典に刻まれている真の意図は、実用書のようにストレートな言い回しではないかもしれない。しかし、長い月日に耐えて読み継がれてきたということは、そこには伏流として真理のカケラが埋めこまれている証左ではないだろうか。