2010年2月28日日曜日

case study「発熱、頭痛、悪寒」

最近、サボっていたケースタの報告。
先週のケースタは、50歳台男性、発熱、頭痛、悪寒

まず、頭痛から鑑別診断を挙げたが、その後にproblem listから鑑別を見つめ直す作業が抜けていた。最初に挙げられたものの中から選ぶことに固執してしまった。

自分のproblem listと鑑別は
#1 消化器症状
#2 頭痛
#3 海外渡航歴

① マラリア
② 薬剤性
③ 心因性

・発熱患者には全員海外渡航歴を聴く
・海外渡航歴のある発熱は、出発から帰国までの過程を詳しく問診
・マラリアは致死の病気、まず評価する
・海外渡航歴+発熱
→マラリア、デング熱、腸チフス は必ず鑑別に挙げるべし
・腸チフスは消化器症状よりもsepsisを示唆するエピソードの方が重要

以下ケースタで話題になった診断方法について

マラリアの診断
流行地域から戻った旅行者の発熱および悪寒(特に再発性発作)は,戻ってから1〜2年が経過しているとしても,マラリアについて直ちに検査するべきである。マラリアは通常,血液の薄層または厚層塗抹標本の顕微鏡検査で原虫を発見することにより診断を行う。塗抹標本の特徴により感染種を同定する。種により治療法と予後が決まる。もし最初の血液塗抹標本が陰性なら,4〜6時間毎に塗抹標本作成を繰り返すべきである。
厚層塗抹標本は,血液細胞が互いに層状に重なるように,大粒の血液をスライドガラス上に15mmの円形にのばして作製する。スライドガラスを完全に乾かす。厚層塗抹標本はギムザ溶液またはライト-ギムザ溶液で染色する。染色後,スライドガラスを緩衝用水ですすぎ,風乾する(吸い取らない)。非固定厚層塗抹標本では赤血球が水により溶血するため,原虫は均一な赤血球ストロマを背景に細胞外生物として現れる。薄層塗抹標本は染色前にメタノールで固定するため,厚層塗抹標本より低感度であるが,解釈のための診断的専門知識をそれほど必要としない。
熱帯熱マラリア原虫の診断において,ヒスチジンリッチ蛋白-2に対するモノクローナル抗体を用いたベッドサイド・ディップスティック検査は血液塗抹標本に匹敵する精度を有し,顕微鏡検査ほどの熟練は必要ないと思われる。PCR法と種特異的DNAプローブを使用しうるが,あまり広く普及していない。血清学的検査は以前の暴露を反映することがあり,急性マラリアの診断には不適切である。

以上メルクマニュアル18版
http://merckmanual.jp/mmpej/sec14/ch186/ch186g.html?qt=%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A2%20&alt=sh

やはり、基本は塗抹標本で同定することらしい。rule outが難しいから、鑑別にはいつまでもいれておくべき。
熱帯熱マラリアには抗体の検出もあるみたい。

HIVについて

大学に都内の某病院から先生方がいらしていたので、その講演を聴きにいった。

・Acute HIV syndrome(HIV感染初期に出る風邪様症状や皮疹など)を見逃さない、早期発見+早期治療で、予後が改善
・STD(性行為による感染症)を見つけたら、HIVも検査する
・HIVを見つけたら、最もハイリスクであるパートナーも検査する

今や、糖尿病などと同じように早めの治療を開始すれば、死ぬような疾患ではなくなってきている。むしろ、いかにして薬をしっかり飲み続けてもらうかが、ネックになっている。

医療従事者の側にもまだまだ、偏見がまだまだ残っているそうだ。

この世界は究極的にドライだ。たじろいだり、恥ずかしがたり、はしていられない。

渡航検診



先週火曜に、都内まで渡航検診を受けにいった。↑東京タワーの隣だった。

身長・体重・視力・聴力検査、血液検査、尿検査、胸部レントゲン、問診&身体診察
以上で○万円かかった。

大使館指定のために、コストを上げる諸々の要因があるのだろうが、医療保険ってすごい制度だと改めて実感した。普段、当たり前すぎて実感できていないけど、ありがたいことって探せばたくさんある。

普段あまりない額の出費なので、精神的にダメージを受けて、せっかく都内まで足を伸ばしたのでついでに何かして帰ろうという気がそがれてしまった。

駅で、偶然去年まで英語を教えてもらっていた先生にすれちがった。昨年末にお子さんが生まれて、忙しいらしい。

そういえば、今年は桜は見られない。来年・再来年は、そんなことを気付けないうちに散ってしまっているだろう。去年もう少し有り難がっておけばよかった。
もうしばらく、ゆっくり桜を眺めることなんてないと、思うと少ししみじみとする。

2010年2月27日土曜日

Johns Hopkin's Infectious Diseases Grand Round

http://www.ccghe.jhmi.edu/CCG/index.asp

Johns Hopkin's Infectious Diseases Grand Roundがみられる。

自分も決して全てを見たわけではないが。
いつか、こんなカンファの末席に列することができれば、と思っている。

iTune U といい、ハイクオリティのコンテンツを無償で提供できるのは、寄付の風潮があるからだろうか。
世界の医療レベル向上のために、このような提供をできるのはすごいと思う。

この国でも医学教育機関でカンファレンスを公表できるところがいくつあるだろうか。
外からの風を入れ続けないと、いつかは淀んできてしまうだろう。

2010年2月21日日曜日

バイト

およそ1年前に全国配信されているT先生の講義をサテライトの1つで画面越しに聴いていた。
およそ1ヶ月前にいらっしゃる病院にお邪魔して研鑽を積ませていただいた。
そして、今日、目の前で講義を聴いている。そして模擬患者役の自分。

そう考えると、1年前がはるか昔のことのように感じてくる。
1年後の自分も、今の自分が想像もつかないような状況になっているかもしれない。

素晴らしい師匠に巡り会えると、人は成長できる。
情報が溢れかえっているために、知識の習得だけならば、やる気さえあればどこででもできる。でも、ロールモデルが近づくことで、その生き様の一端でも知ることができ、まずはそれを真似ることから始める。

最近、若干萎え気味だったモチベを今週末でフル回復できた気がする。

若手医師セミナー最終回

先週金曜夜は、若手医師セミナー最終回で腫瘍学の基礎について。

腫瘍+発熱→帰宅させない、精査
腫瘍+痛み→0/10(痛みを10段階で評価した時に全く痛みなし)までもっていくために麻薬

「A先生のように自分はなりたかった。A先生の放つ言葉の重みは、他の先生にはないものがあった。」
2年前に公開講座を拝聴して、ショックを受けた時の自分を思い出した。
あの「感染症の原則」の講義を聴いて、この人は違うと直感した自分の眼は間違っていなかった。

その後、「自分以外は全員○態、自分だけはまとも」と思っている集団で飲み。

USMLErx

先週の金曜日からネットの問題集を始めた。

STEP1の時に3つやったので、それをSTEP2でもやろうと計画している。
まずはネット問題3つのうちに最もとっつきやすいこれから始めることにした。
月単位で購入するので、まとまった時間がなるべく取れる時期を見計らって、この時期にした。まだ本媒体の問題集を解き終わっていないが。

1ブロック44問にまで減っているので、だいぶ気持ちが楽だ。最近の傾向として1ブロックあたりの問題数がどんどん減ってきている。

ただ、STEP1と比べてSTEP2では長い問題文の数が多いし、それらの問題文の長くなっている印象を受ける。

最近やっと英語を読みとばしに抵抗がなくなってきた。今までは、英語というと受験英語の悪しき慣習が身についていて、精読を目指す傾向にあったが。そんなことをしていたら、埒があかない情報量を処理しなくてはならないと、自然と多読できるようになる気がする。そして、文脈から大凡を推測して拾い読みもできるようになる。

ここからは、眼と頭に対して酷使と回復のサイクルを如何に効率良く回すかと勝負になる。

2010年2月17日水曜日

一歩引いて考える


自分の経験や立場から一歩引いて、考えたり意見を出したりするのは、難しい。

雰囲気に流されないようにするには、大方の方向性が決まり始めた時にも敢えて反対の意見を出してみて、一度ニュートラルに考えてみてから、そちらへのギアチェンジをしても遅くはないと思う。

特にある程度の齢を重ねてしまうと、それなりの経験とそれなりの立場があるため、縛られずに客観性を保つ訓練を意識して積んで行いと。
思考をこのように刻むこともある意味で客観化の訓練に役立っているのだろう。


相手に聴いて良かったと思ってもらうには、こんな自分とでも共有した時間が有意義であったと思ってもらうには、相手のニーズに合った話しぶり+コンテンツであるべき。


○○力と表現する時、それらを要素還元してさらに細かく分析できるのではないか?
例えば、芸術力があったとする。それは、表現力、独創力、写術力、構想力、・・・・などと要素還元できるだろう。要素還元では失われてしまう総体として、芸術力と表記しているのか?
それともそれ以上の還元を諦める、諦めさせるためのタグとして使われているのか(分析・説明の怠慢)?
それとも、そのような造語を言い出したヒトが先駆者のようにみられるためなのか?

・・・と自分が抱く〇〇力に対する違和感がこんなところからあるのでは?ないかとふと思った。

1と2は全く関係ない。

2010年2月16日火曜日

Pretest ClinicVignettes for STEP2

Pretest ClinicVignettes for STEP2 2nd Edition

こちらは、システム毎ではなく、ランダムに50問1セットで8セットの問題集。
全体的に50%ちょいと取り組み始めてから日が浅い割には、そこまで(Step1の時ほど解いていてやめたくなるほどひどくない)ではないので、あまり凹まずに解いていられる。

これで、およそ計2500問程度。
ペーパーベースでは、
pretest Pediatric
Kaplan Step2 CK
First Aid Q&A 後半
が残っているが、時期をみてウェブ版第1関門、USMLErxを始めようと考えている。

PreTest Medicine

Medicine PreTest Self-Assessment & Review, 11th Edition

Internal medicineの分野を、各システム毎に載せてある。Step1の知識内で対処できる問題も多いが、いかんせん忘却してしまった項目も多いことを実感させられた。

各システム毎に分かれていて、類似問題も近接しているので、大枠が頭に入っていない自分にとっては役に立った。

First Aid 上ではpretestシリーズの評価は高くない。確かに一部細かすぎると思われるものもあるし、全体的に画像が出てくる問題も多くはない。
それでもやる価値はあるとおもう。
現在では12版が出ている。

2010年2月13日土曜日

Avatar

I went to see a 3D movie, "Avatar."
This was my first time to see 3D picture.
It was good experience for me to check new technology.
I wasn't used to see 3D picture, therefore it was little tough for me.

There were more people than we had expected.
Because it had long time since the movie had started in Japan, we expected it was more available seats.

The content of the movie was also fun.
It was like combination of "Lawrence of Arabia" and "Surrogate."

I hope to see one more movie during I'm a student.

2010年2月12日金曜日

地域医療



今週一週間は、I県最北端の医院にて実習させていただいた。

・日本には医療サービスが十分行き届いていない地域がある
「超」老々介護により成り立っている家庭もある
限界集落では、ある一定以上の規模でないと行政からのサポートの網から抜け落ちてしまう
医療資源の集約化も、そこまでのアクセス(またはデリバリー)を確保した上でないと成り立たない

・年を重ねるということは、ものすごく大変なことだ
行政や身近にお年寄りがいない方が考える以上に、多くのサポートや予想外の展開に対する糊代が必要

・医師を中心にした地域医療の展開
期待も大きいが、責任も大きい
持続可能性を保持した上で、緩やかな向上を目指す
子供の教育問題といった自身の犠牲や奉仕だけに留まらない要素もある

・技術を有している≠ニーズにこたえる
ニーズに満たない技術は、
ニーズを超過した技術は、満足にはつながらない
技術立国日本という意味は技術至上主義の肯定ではない

大きな施設にしかいないとわからない経験ができた
この職業には、このような選択肢もあり、なのだ

あと1ヶ月で空港が、あと5ヶ月でドクターヘリが導入される
→どちらも順風満帆なスタートとはならないだろうが、有効活用されることを切に願っている

来週からはしばらく下宿から通う実習(今年入って初!)
平日下宿で寝泊まりする感覚に違和感を覚えそう

2010年2月7日日曜日

当世医療事情

「他の国に目をやれば、
診察を受けるだけでも1ヶ月先という国もある。
お金がないから、事故で失った2本の指のどちらかしかつなげることができない国もある。
日本にはいるから、そのありがたさがわからないだけで、3時間待って3分しか診てもらえないと文句をいうこともできるが、アポなしで来院しても診てもらえるだけでもすごいことなんだ。
確かに改善点も多いが、それでも日本の医療の肯定すべき面も多くある。」
日本人は、質の高いサービスに慣れすぎてしまっている気もする。
公共サービスを利用する際の最低限のマナーを身につけるべきではないか。

「中小の規模の病院が、どんぐりの背比べのように並列にできてしまったため、各施設で全科を揃えるのが難しくなってしまった。メディカルセンター構想として、地域で集約させないと、回らなくなってきている。」
集まれば、総和以上の効果、相乗効果が期待できる。
戦力の分散、逐次投入は、潤沢に戦力が確保できない状況では、見直すべきだろう。

「隣の庭は青い
プライベート重視で生活していると、もっと仕事に打ち込んでおけば良かったと思うだろう。
仕事中心の生活をしていると、生きていく糧を得るために仕事をしているのか、仕事をするために辛うじて生きているのか、わからなくなってくるだろう。」
一個人を押しつぶせるだけの仕事量は、簡単に手にしてしまえる。
いつになっても、ライフワークバランスがこれで良いのかという自問自答は終わらないのだろう。
最低限の持続可能性を担保しつつ、若いうちに最大の負荷をかけ続けるのは、難しい。

iTunes Uを初めてダウンロードしてみた。講義を無料公開したり、カンファをネット配信したり、大学のオープンに教育を行う使命感は、見習うべきだろう。いつまでも、囲い込み型、タコツボ型では、質を向上し続けることはおろか、維持し続けるのも難しいだろう。

明日から、県北部の診療所にお邪魔します。

2010年2月2日火曜日

転々

今、I県の東南の果てに来ている。

単身赴任で来ている多くの方と、一緒の宿泊施設に泊まらせてもらっている。

ある方は仕事柄、2,3ヶ月単位で40ヶ国以上の国を、また日本のあちらこちらに滞在して仕事をしているそうだ。
その話を聞いて、ここ1ヶ月半くらいを転々としていただけで、疲れただの言っている自分が妙にちっぽけに感じてきた。

やる理由もやらない理由も、理由づけならいくらでも後からついてくる。
要は、本当にやろうと腹をくくるかだ。

内面

職業柄、ヒトの不幸に接する、接しざるを得ないことが多くなってしまう。

特に1月は最前線の施設で実習させていただいたため、以前よりそのような場面に遭遇する頻度は多かった。先月は、忙しすぎてよくよく、またくよくよ考える余裕がなかった。

「医師は、ヒトの不幸に接しても冷静を保たなければならない」
「ヒトの不幸に接しても、悲しまなくなったら、この仕事を辞めるべき時だ」

前者は、ある先生から伺った言葉。後者は、ある記事を読んでいてぶつかった言葉だ。
前者であることが理想であろう。後者であることは道理であろう。

近しい方々が最も悲しいのであって、そこに立ちあっているのだから全く悲しいのでもない。

ついもらい泣きしそうで、同胞を失うことで生ずる元来もつ悲しさで、次はそちらに臥すのは自分かもしれないと思う恐ろしさで、悲しいのかもしれない。
悲しむべきは近しい方々で自分は悲しむべき資格はない、悲しいと思うエネルギーをこれからのために向けるべき、悲しみたくないから距離をおくべき、と思って悲しまないのかもしれない。
そんな思いが去来して、分単位秒単位で、涙がこぼれそうになるのを必死でこらえたり、妙に達観してその場に立っていたりする。


医学はサイエンスとアートだが、ヒトはロゴスとパトスだ。
ヒトがヒトを切ったりして、ヒトがヒトに高濃度精製物質を偉そうに飲ませたりして、医学は進歩した!と偉そうに言えるだろうか?

医学の総体も、一人の人間のもつ内面には、到底及ばないのではないか?