2010年9月29日水曜日

iPS細胞革命

NHKスペシャル「“生命”の未来を変えた男~山中伸弥・iPS細胞革命」

これからiPS細胞を巡って生命倫理的な議論をしていかないといけないと警鐘を鳴らす番組だった。

“生命”の未来を変えた男として、もっと自信満々にインタビューに答えると思いきや。何時になく、不安を口にする山中教授の姿を眼にした。それだけ、iPSの技術は、未知の可能性を孕んでいることを示唆している。

科学技術はわかりたいことも解明させてくれた反面、知らなくてよかった・わかなくてよかったこともわかるようにしてしまう。
研究者も医師もただ研究や臨床をやっていればよい時代は、終わった。これからは、その研究や技術が社会にどのような正負の影響があるか、まで見越しておかないとならない。

生命科学に携わる研究者や医師は謙虚にならないといけない。現在わかっているのは生命の氷山の一角に過ぎないのだから。患者さんに薬を投与して出た反応をありのままに受け入れる姿勢が必要だ。
という最後の言葉が印象に残った。

今週末にiPS最前線の話を伺えるのが楽しみになってきた。
今年のノーベル賞は平和賞と合わせて、その動向が気になるところだ。

2010年9月28日火曜日

ウェブで学ぶ

「過去に自分が歩んできた道のりの中でたまたま学ぶチャンスのなかった知識の欠如で未来の可能性が縛られるのはたまらない」という気持ちが起業家には強く、独学により自ら道を切り開く。起業精神と独学は不可分なものである。

「英語ができる、できない」といったテクニカルな問題よりも、世界への関与についての意志、最初から普遍を目指す「心の在りよう」のようなものが、「グローバル展開への強烈な意志」の背後にある。グローバルウェブとローカルウェブという2つの並列した枠組みで捉える必要がある

人生におけるどの時点においても「学ぶ者」にも「教える者」にもなることができ、さらに自分の意志次第で「学びながら教える者」にも「教えながら学ぶ者」にもなることができる

プロジェクトに助成するのではなく、大きな流れを作り出す方向性に助成する

1 何か構想を打ち出して始める 2 コツコツとかなりの期間やってある達成がなされて一部から高く評価される 3 4 5 ・・・・・世界を変えるほどとてつもないものに

シリコンバレーの存在理由は「世界を変える」こと。「世界を良い方向に変える」ことだ。それをやり遂げれば、経済的にも信じられないほどの成功を手にできる by Steve Jobs

自分たちの持っているアイデアやノウハウをオープンにしないよりは、オープンにした方が、最終的に自分たちに利するものを増やすことができる
そして、自分たちが持っているものを他人に惜しみなく分け与えても、自分たちはその先のさらなるフロンティアに進み、イノベーティブなリーダーだあり続けられる

テレビを見る時はみんな頭をOFFにしたい。コンピュータをつける時はみんな頭をONにしたい。 By Steve Jobs

どのような「師」や「同志」に出会うために、どのような「学びのための環境」に身をおきたいか、を考えるのは非常に重要

運や偶然をつかむ秘訣とは、誰かの心に印象を残して、大切な時に誘われる能力

「学んだことで、誰かの役に立てる」と実感することは「学ぶためのモチベーション」としてとても重要であり、実社会の中で役立ちながら「自分がさらに学ぶべきこと」を見出せる可能性も大きくなる

「こうすれば全ての問題が解決する」という処方箋など存在しない中で1番大切なことは「未来は予測不能」という前提に立って、一人一人が少しでも可能性があると思える方に向かって行動し試行錯誤を繰り返していくしかないのだ

自然過程に身をゆだねるとローカルになる。その過程に敢えて抗してグローバルな潮流に乗ることが大切。「自分という人間を使った壮大な人体実験をする」ためにこの人生を生きている。

以上印象に残った言葉。
以下感想。

意欲はあるけど「持たざる」ヒトのために何ができるか。それが、「持ってしまっている」恵まれた環境にいる自分達の責任なのではないか。まずは、役立てるだけの力を身に着けないと。意欲はないけど「持ってしまっている」ヒトに囲まれて自分を見失ってしまわないように。

「ウェブ進化論」を前大学の卒業前に、その5年後に本書を現大学の卒業前に、巡り合えたことに感謝したい。
後半年で(一時?)学生生活は終わるが、Open Educationを用いれば、いつでもどこでも意欲さえあれば勉強できる環境がある。

2010年9月27日月曜日

立花隆と梅田望夫と黒川清と僕と

と大それた題名をつけてみましたが。。。
この御三方と自分がどう繋がっているかを留めておきたいと思う。
決して自分を同列にあげているわけではないので。

最初に立花隆氏の本を手に取ったのは、中学生の時で家にあった親が買った本が最初だった。その時は、特に大きな感動を覚えた記憶はなく、ただたくさんある本や作者の中の一冊、一人だった。

高校1年の夏休みに、夏期講習でお茶の水に訪れた。
その時は、昼食代にもらった小遣いを、ケチって貯めて、読みたい本を買っていた。
たまたま入った大きな本屋で脳を鍛える (東大講義 人間の現在) が平積みされているのを目にした。この本との出会いが自分の大きな転換点になったと思う。
それまで、教科書の範囲や差し迫ってきた大学受験だけが自分の狭い世界だったが、その本は「それから先にある世界」を垣間見せてくれた。そして、あまりに何も知らない自分を教えてくれた。
こんな面白い授業がある大学に行こう、とその時に決めた。

念願のその大学に入り、立花氏の授業も拝聴する機会に恵まれた。
その中で記憶に残っているのはジャーナリズムのこれからについての講義だ。
彼は、ITによってジャーナリズムに激動の時代が訪れ、これから大変革が起こる。そして、それに立ち会える君たちは幸せだ・・・うんぬんといったことを熱心に仰せられていた。その講義中に
「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」
「ウェブ進化論」
を必読と薦められた。その他に、
・日本語のみのネット情報ではもったいなさすぎる。BBCやCNNをみろ
・google readerはすごい
などの有益な情報をいただいて、即日実行に移した。

そして、時は流れ、自分はNEXT Universityへ(奇しくも立花隆氏も東大に2回入学しているが)。
医学界で尊敬してやまないKiyoshi Kurokawa氏のブログにて「ウェブ進化論」の続編といえる「ウェブで学ぶ」が言及されていた。
Kiyoshi Kurokawa's blog「ウェブで学ぶ:オープンエデュケーションと知の革命」、必読の一冊

まさに2つのDotが同じ方向を向き、ある地点で交差を瞬間だった。

2010年9月25日土曜日

「日本人とユダヤ人」

「日本人とユダヤ人」(角川oneテーマ21 (A-32)) [新書] 山本 七平

一度は読んでおいた方がよい日本人論・・・とアマゾン書評にあったが、その通りだと感じた。
読んでいて納得されられることが多い。いろいろと問題はあるらしいが。

たまたま立ち読みした週刊誌にこの書籍が薦められており、その書店で手に取ってみた。

「ジャンボ時代が来れば、世界は狭くなり、お互いに肩が触れ合い、話し合う機会はますます多くなり、日常のこととなるかもしれない。だが、それが相互理解に通ずるなどと安直に考えてはならない」

北米やヨーロッパにおける独特のユダヤ人のポジションを感じることが、一度は向こうで生活した人はたいてい感じていることだろう。

日猶同祖論
がこの直後に読んだ「街場のアメリカ論」に載っていた(読後感を載せる順序は逆になってしまったが)。オカルトイデオロギーですが。

2010年9月24日金曜日

アメリカを「まっすぐに見つめる」

「街場のアメリカ論」

・「国の起源の栄光」なるものは、「あの黄金時代はもう失ってしまった」という泣訴を発する人によって遡及的に創造されるものだ

・「理念先行」というある種のアメリカの「宿痾」である。生身の人間としてクリアカットにできない「わけのわからない」経験の中で満たされた生活実感の中で出てきた言葉は、もっとあやふやなものになるはずだ

・日本人はアメリカを「まっすぐに見つめる」というリアリストの知性をもつことができなかった

以上本文とあとがきから印象に残った言葉の抜粋。一部切り取ってもわかるように組み替えた。
アメリカを直視できず、盲従している日本が読むべき一冊。

古来は中国、WWⅡ後は米国の従者となっている国。初めて、この両国大国のバランスが均衡に近づき、どちらに軸足を置くか判断が迷われる時期に来ている。
私見では、両国の間をうまく取りまとめ、したたかに生きるしかない気がするが。

2010年9月23日木曜日

バイタルサインでどこまでわかる?



「バイタルサインでここまでわかる!OKとNG」

バイタルサイン:一般には体温、血圧、呼吸数、心拍数に酸素飽和度を加えたもの。古典的には前者4つ。

【悪寒の3分類】①悪寒戦慄(布団+ブルブル)→敗血症示唆、②中等度悪寒(重着+ブルブル)→RR>30で敗血症示唆、③軽度悪寒(重着でブルブルなし)PR<120なら敗血症らしくない

【⊿20ルール】体温が1℃上昇毎に心拍数が20以上上昇→細菌感染の可能性大 (基準が不明なら36.0℃、心拍70と仮定)

【貧血のフィジカル】①結膜、②爪の色、③手のひら(手掌線が蒼白か?) 【脱水のフィジカル】①舌のしわ、②腋窩乾燥、③皮膚ツルゴール低下

【低血糖の鑑別】①頻脈+血圧上昇→薬剤性低血糖、②頻脈+血圧低下→副腎不全、敗血症、末期肝不全、末期腎不全、③頻脈+血圧正常+頻呼吸→アルコール性ケトアシドーシス

【AF時の脈格差】脈拍数だけでなく、心拍数もチェックする。脈格差(=心拍数-脈拍数)が増大している可能性あり

これまでは呼吸数をGeneral appearanceに含めてしまう医療従事者が多かったのだろう。定量的に記載することで、共有でき、経時的にもフォローできる。忘れがちなバイタルとして、呼吸数や痛みスケール、頸静脈圧を大切にしたい。

以上連続ツイート「バイタルサイン」。
本来、患者さんの状態を把握するのに、重要な指標である。しかし、近年は検査が高度化し、身体診察と並んでないがしろにされがちだ。そして、検査の高度化と反比例して問診・身体診察の取る力は落ちていると言われている。
来年から(もちろん試験に目出度く全て通過した後だが)初期研修が始まるので、問診+バイタルサインを含めた身体診察に重きをおく医療機関で研修したいと切に願うばかりだ。

写真は○千円のLCCが就航するというクアラルンプール。

2010年9月21日火曜日

A-PBL2




Advanced Problem Based Learning第2弾。
PBL: ケースを軸に少人数でグループ討論やグループワークをして勉強する手法
A-PBL:そのちょい凝った版。自分の造語。

9/18-19に筑波で行った「医学生のための感染症セミナー2010秋」の中で、組み込んでもらった。

3月にやらしてもらったもののパワーアップバージョン。

①グループワーク前に全体で鑑別を系統的に挙げる
最初にVINDICATE×SYSTEMのマトリックスは配る
2人チームで5分考える→全体で集約10分

②今後の方針をより具体的に、入院指示書、入院加療計画書の作成
よりレジデントっぽく、患者への説明はボーナスステージ扱い

③指導医へのプレゼン+質問を短時間化

といった変更を加えた。オーダーした結果しか返ってこないことや、時間の制約のある中で作業をすることが実践っぽいと、今回も好評で良かった。

終わり際に
「講義形式で学生が学生を教えるのには限界があるが、このように少人数でやってやり方を一工夫すれば、無限に学ぶことができる。今日やった資料は全て差し上げるので、持ち帰って各大学で広めて下さい。そして、その感想を聞かせて下さい」
と言ったら、早速使いたいという連絡をいただいた。ありがたい。

「この方式のケースを、各地で作ったプールすれば、もっと簡単にできるようになるのでは??」というご意見もいただいた。

自分が研修医になったら、担当した学生に
①この形式で、シュミレーション後に外来に投入
②既に入院している方の、入院までの経緯をこの形式で追体験してもらう
ことを考えている。

この企画は、同時で4つのブースを動かすので、ファシリテーターがやりにくくないように、また全員が満足度が高いように、時間配分や進め方にものすごく気を使い、自分自身の勉強にもなった。

メディカルスクール制

懇意の方が韓国にメディカルスクール制を研究しにいらっしゃるとのこと。

メディカルスクール:米国のように4年間他の学部を卒業した後でないと、4年間医学部にいけない制度。

以前このブログにも少し言及した↓↓
医療崩壊、メディカルスクール制、医師の一般常識

少し、日本の現状、米国との比較、韓国について(は知らないのでこれからご教示いただくことに)を一考してみたい。

日本で一番メディカルスクールに近い形式なのは、T海大学だ。当時学長をなさっていたK.Y先生がメディカルスクール制の導入しようと、その走りとして、学士編入枠を増員したと伺っている。現在もT海大学では編入生枠が他より多い(110名中40名、通常編入制度を採用している大学でも5-10名程度)。
又聞きで申し訳ないが、その際の改革ではだいぶ周囲からの反発があったと伺っている。その教訓を知ることができれば、今後の参考になるかもしれない。
そのほかにも、いくつかの有名病院は、メディカルスクール設立を見越して、敷地を確保したとか実しやかに囁かれている。

韓国もメディカルスクールに入学するためには、相当高いスペック(学歴や留学、語学などを数値化したもの)が必要ではないか?

米国もメディカルスクール制を導入している。しかし、高額な学費のため、医師になった時点で、多くの借金を背負ってのスタートとなる。だから、皆超必死で勉強するし、モチベーションも高い、という利点がある。反面、収入の高い専門科を志向する傾向にある。

韓国のメディカルスクール制について伺える機会を得たので、これを機に考えていきたい。

今日の卒業試験を乗り切れて、一安心。また来週も再来週も・・・と延々続いていくが。

2010年9月8日水曜日

耐性菌報道について

特に述べることはないです。
その道のプロの方々がコメントを出しています。

「感染症診療の原則」

「楽園はこちら側」

「感染症ブログ」

「グラム染色道場」

「今にも落ちてきそうな空の下で」

「感染症疫学の風」

もう少し「話題」のアシネトバクアーについて知識を深めたい方はこちら

「感染症の病理学的考え方」


大学院(念願の3コ目!?)に行って統計や疫学を学ぶ必要性を再認識しました。