2009年4月29日水曜日

救急医療

 親が悪化するわが子の病状が心配で、朝まで待てないため時間外に病院に連れてくるということが多い。親がどのような時に連れてくるべきで、どのような時に朝まで待てるのか、という判断を適切にできるように啓蒙する必要性を感じた。このことは、特に小児救急で如実に現れているが、成人の時間外外来でも軽症の方の来院にもつながると考えられる。
 自分が医学生として勉強するようになって、いかに自分自身の体のことをわかっていなかったかを実感するに至った。それは、一般の方々ではさらに顕著であると思われる。このため、病院への受診に迷った際にどこに聞けばよいか、をさらに周知する必要があると感じる。駅構内で、救急車の要請に迷った際の連絡先が記載されたポスターを見かけることもあるが、そのような体制も周知されているとは言いがたい。
 現場でパンフレットを配ったりするなどの地道な働きかけも大切であると感じた。加えて、インターネットやテレビを通じて、正しい情報が伝わるように提供していくことや教育現場とも連携しての活動も必要と考えられる。日本では医療へのアクセスの敷居が、比較的低いため早期発見しやすい反面、アクセスが濫用され医療体制の人的・金銭的な疲弊を招く傾向にあると考えられる。医療へのアクセスの敷居に適切なレベルを保てるように、医療者全体が一般の方々にも考えてもらえるように問題提起をしていくべきだと感じた。

以上が自分が考えていることです。

現状で、病院への受診の際は何を判断材料にしていますか?
インターネット・テレビ・家庭の医学的な本・周囲の助言・自己判断 など

何が病院(特に夜間休日などの時間外)に患者さん達が殺到する原因になっていると思いますか?
かかりつけ医の不在・自己負担が安いからとりあえず・不安を解消したい など

ご意見を下さい。お願いします。

2009年4月26日日曜日

ブタフル②

WHOの発表ではphase3からの引き上げは見送られた。phase4は持続的にヒト-ヒト感染が起こっていると認定された状態。しかし、まだそのように判断を下すだけの情報がないので、今回は見送ったという感じだ。

メキシコではパニックにはなっていないが、学校、図書館、美術館などのヒトの集まる施設は閉鎖されている。

現在までのところ、CDCでも流行地域への渡航は止められてはいないが、流行情報に気をつけることや、積極的に感染防御を行うように推奨している。
日本では、JTBがメキシコへのツアーを中止はしないが、キャンセルの際にキャンセル料をとらないとしている。メキシコ帰りの便には、SARS以来お馴染み(?)のサーモグラフィで発熱の有無を検査するなど検疫を強化している。
ブタ肉を食べても問題ないとのこと。

発表されている感染者数や死亡者数がどこまで正確なのか?実際は検体(この場合鼻腔内をぬぐったもの)からブタフル特有のRNA配列を検査しない限り(今回流行の株は今までのヒト・ブタ・トリインフルエンザからは見つかっていない特有の配列があるので)、断定はできない。カリフォルニアやテキサスで確認された感染例ではこれらの確認されている。メキシコの発表ではどこまで確認されているのかは自分の調べた限りでは詳細はわからなかった。

出来る限り正確なに基づいて、冷静に対応するしかない。今後も推移を見守ろう。

2009年4月25日土曜日

ブタフル

忙しくても、こまめにニュースやネットをチェックしておかなかったことを反省させられた。今日TVニュースを見るまで気づけていなかった。

遡れば、4/21にはCDC(Center for Disease Control and preventation、米国疾病管理センター)から警戒するように注意が促されていた。発端はカリフォルニア在住の2児からブタのインフルエンザが見つかり、ヒト-ヒト感染の可能性があったためだ。他の宿主-ヒト感染のみならば、その宿主動物との接触を避けることで感染の拡大を防げるが、ヒト-ヒト感染ならば一気に感染が拡大する(パンデミック)の危険がある。特にヒト、モノの移動が激しい昨今では初動の遅れは致命的な拡大を招く可能性がある。

メキシコ政府の発表では、先月からインフルエンザ様の症状がみられ、今月に入ってから流行が拡大。4/23の時点で、854人以上が感染し、59人が亡くなっている。

今日の日本時間23時頃のWHO発表でフェーズ4を宣言すれば政府も対策本部設置とのことで、しばらく推移に注視したい。

パニックになる必要はない。いつもしている感染防御(マスク、手洗い、うがいなど)を励行しよう。GW前に、このニュースでは関係者の皆さんの苦労の程が伺える。

昨日聴いたばかりの言葉が頭をよぎる。「敏感になりすぎず、鈍感にもなりすぎず」。

感染症学会

4/23-24に都内で開かれていた感染症学会に参加してきた。

学会参加と24の実習でのプレゼンテーションの準備(ウィークディで、実習先の先生に無理を承知でお願いして学会参加の許可をもらっていたので)で、久しぶりに詰めつめの日程だったので、更新が滞ってしまった。

久しぶりに都内のラッシュを経験して、自分がいかに恵まれた立地に住まわせてもらえているか再認識した。

宮城先生、青木先生、大野先生、藤本先生、大曲先生、といった日本の感染症界で活躍して、自分の憧れの先生方が次々に登場して講演をしてもらえて、刺激になり、とても勉強になった。感染症や医学教育の本やブログを読んで、一度会ってみたいと思っていた先生の生の話を聴けて大満足の二日だった。

本学会のテーマが「感染症教育を考える」というだけあって、学生にも興味のもてる話が多かった。有名な先生の講義は立ち見の人で溢れかえって、外にはみ出すくらい大盛況だった。

特に青木先生は、レジデントのための感染症診療マニュアルや、昨年の大学院特別講義を拝聴して、ぜひぜひライブの講義を聴きたいと切に思っていた。会場の前の方に行って、講演の始まる前につい喜んでいたら、一緒に参加していた隣のS君にきもがられてしまったのだが。短時間に多くのclinical pearl(臨床上学ぶべき事柄)を散りばめられており、うまいタイミングでフロアを和ませるジョークを挿んだりと、内容も話術もすばらしく、聴いていて引き込まれてしまった。

2日目の午後の講演の途中で、後ろ髪引かれる思いで会場を後にして、大学に戻り症例のプレゼン、今後の実習のガイダンス、実習の節目だったのでその後飲み・・・と詰めつめだったが、ものすごく充実していた。

2009年4月21日火曜日

燃え尽き症候群

「Burnout and Suicidal ideation amoung U.S. Medical Students」

Annals of Internal Liselotte N. Dyrbye, MD et al. 2 September 2008 Volume 149 Issue 5 Pages 334-341

米国の医学部在籍中に学生の約50%が燃え尽き、10%が自殺念慮を経験。燃え尽きはその後の自殺念慮のリスク上昇に関連。

米国では4年制大学卒業後にmedical schoolに入ることや、医師になるまでに多くの借金を抱える方も多いので、一概には日本との比較はできないが。某大の調べでは研修医の半数が鬱を経験しているというデータもあるので、傾向は類似しているのだろう。

頑張りすぎずに頑張りましょう。

2009年4月20日月曜日

立花隆

立花隆氏に私淑している。

それまで家では親の本の中に立花氏の著書も混じっていたが、見たことがある著者であることくらいにしか最初は印象がなかった。
高1の時に夏期講習でお茶の水に足を運んだ時に、昼飯代を削って初めて買った文庫以上の本が「脳を鍛える」。一読して大部分には理解が及ばなかったが、世の中には自分の知らない面白いことがこんなにもあるのか!!・・・と感銘を受けた。それまで、知識とは教科書と少しばかりの文庫本やテレビが全てであった自分にとって、衝撃というより全ての見方が変わったというくらいインパクトがあった。

一読した本の再読はしないが、この本と司馬遼太郎の「竜馬がゆく」「坂の上の雲」だけは再読している。学生のうちにこの3つは必読。「竜馬」と「坂の上」もいつか詳しく触れたい。

圧倒的な資料・取材・勉強に裏打ちされ、さらに飲み込まれずに、それらを統合する執筆力は凄い。

私淑(ししゅく):私(ひそか)に淑(よ)しとするの意。個人的にこの言葉の響きや意味が気に入っている。ちなみに直接教えを乞うていれば親炙(しんしゃ)。どちらも良い日本語。

2009年4月19日日曜日

ベイツ

Bates' guide to physocal examination 9th edition

を家で空いた時間にチョクチョク読んでいる。この本は通称「ベイツ」と呼ばれ、世界中で読まれている身体診察の教科書。文章も比較的平易だし、図や写真が綺麗で、構成がいい。本当は病棟実習が始まる前に通読しておきたかったが、そのときの自分にはそれだけのreading skillがなかったし、step1で精一杯だった。久しく辞書的にしか使ってなかったが、4/11に身体診察についての講義をK井先生から拝聴して、自分の身体診察の未熟さを痛感して通読しようと思い立った。

家のPCの動作が遅いので、now loading中の合間や少し早起きして時などを有効活用している。
今まで通読を目指した洋書の中では一番厚い。さらに厚いのではハリソンも手元にあるが、めでたくベイツを通読し終えたら、手を出そうかと思っている。それまではわからいところだけを参照する的なポジションに置く。

現在90/900ページ。やっと問診のセクションが終わって、診察のセクションに入った。
問診と身体診察は全ての診療の入口であり大元であり基本であり、奥が深い。

ローマ人の物語2

「勝者の混迷(下)」「ユリウス・カエサル ルビコン以前(上)」

~奴隷とは自分の運命を自身で決められない者のことをいう~
決断を迫られた時(迫られるであろう時)に選択肢をいかに多く残しておくか?もし1つしか残されていなければ共和政時代のローマの定義では奴隷ということに・・・

~指導者に求められる資質は次の5つ。知性、説得力、肉体上の耐久力、自己制御の能力、持続する意志。カエサルだけが、この全てを持っていた~
こんな資質を1つでも有していれば「当代きっての~」といわれるだろうに、5つも有していればもはやカリスマ。生まれもった資質+時代の要請+生後の教育・本人の努力+α+・・・それら全てが合わさって彼を生んだのだろう。

この頃日本は弥生時代。ローマの方が進歩していたとか、全くいうつもりはない。ただ、特筆すべきはローマの人々は書き残していたことだ。弥生時代にも様々なドラマや今から観ても学ぶべきことは多々あるはずだが、省みれる資料が(あちらさんと比べて)多くないのが惜しい。

2009年4月18日土曜日

放〇線学会

昨日は、Y浜まで放〇線学会に参加しに行った。

人間の脳には2つの傾向があるらしい。
①より複雑な思考では頭が働く(より脳血流が増える)
②同じことを反復すると、頭は少しづつ働かなくなる(脳血流が減る)。いわゆる学習する。ただし計算や文字を扱う場合は例外的に、反復しても脳血流は減らない。

②については、いわゆるオートマトン化だと思う。
このような脳の傾向を把握した上で、自分自身の脳にも最適な負荷をかけてトレーニングできるといいな!!まだまだ自身の脳を活かしきれていないと感じた。

初めて「学会」なるものに参加させてもらった。一般の放〇線医の再教育(情報のup date)のために教育講演なるものが多く設けられていて、面白かった。もっと細分化されすぎていて、学生ごときが聴いてもちんぷんかんぷんなのばかりかと当初は予想していたが。
なるほど、これが「学会」というものの雰囲気なのか!

2009年4月16日木曜日

Case Study「失神」

毎週木曜夜に有志で集まって勉強会を行っている。
主訴から鑑別診断を挙げ、問診で何を聞くか?→鑑別絞込み→身体所見を何をとるか?→再度鑑別絞込み→検査何をするか?→さらに鑑別絞込み→入院/帰宅、ケースの結末
といった一般に外来の初診(初めて診る)を想定しての流れだ。毎回持ち回りで、担当になった人が司会兼模擬患者をする。

座学や診断のついてしまった患者さんを担当する病院実習の中で、有機的・実践的に学んだことを復習しお互いに刺激を与える意味で始めた。4年生の最初からやっているので、都合1年だ。時々研修医の先生や先輩や後輩も参加してもらえて何とか続いている。基本は同級生の新5年生が中心となって会を回している。

・・・で前置きが長々となったが、今回の担当はT君で、主訴は「失神」。T君は救急医を目指していて、積極的に活動している。学内でも救急勉強会を主催しているし、外部の勉強会にも主要メンバーとして参加している。自分の将来を見据えて、今から準備している姿勢は見習いたい。

※以下一部疾患名の略語などは注釈をつけて説明していないものは話の筋とは関係ないので読み飛ばしてもらって結構なんで。

・・・で鑑別だが、
hemorrhage, aortic stenosis, narcoiepsy, sepsic shock, shock, arrhythmia, NSVT, epilepsy, TIA, SSS, vagus nerve reflex, orthostatic hypotension, trauma, hypocarboxia, hypoxia, hypoglycemia, drug, DKA, SAH, HHS, SAS
などが挙がった。
一例目は若年で、初発、2~3秒の失神後意識清明に回復、他に随伴症状なしでvagus nerve reflex。L/D(血液検査)、ECG(心電図)に加えてtilt table testを施行することとなった。
二例目は中年女性で、左下腹部痛を伴い、起立時に失神し再現性あり。妊娠反応と体位による血圧低下をみて、超緊急ということで、すぐライン(点滴の管を血管に入れる)を2本取って婦人科コンサルで緊急オペとなった。T君らしい症例。

来週は、多くのひとが都内の某学会に(自分も)参加するのでお休み。来週はM君担当で感染症関連らしい。
明日は今実習している科の学会に行くこととなった。

2009年4月15日水曜日

Step1について①

 今年の1月にUSMLE(United States Medical Licening Examination)のStep1を受けた。(以下Step1と記載)
 この軌跡が3,4年生としての自分を振り返ることにそのままつながると思う。
 最近、同じように受験を考えている人から「学生が受けたというネットの情報があまりなく、現役の医師と違ってどう対策すればよいのか」といった話を聞いた。
 そんなこんなで、一度まとまって「孤立無援でStep1受験を強行した無謀な1例」(失笑)について考察するいい機会だと思う。(ブログを書き始めた理由も半分はこのためかもしれない)

 まず、どうして受験しようかと思ったかから。
 こちらに来ての最初の1年間は、どうもその前の年にいろいろと詰め込み過ぎてしまい、完全にburn outしてしまっていた(この頃に山に行っていたら、もっと変わっていたかも!?)。それでも充電時期と位置づけて、休みながらも次に何をしようかと目標を模索していた。国試(国家試験の略、6年生の最後に免許をもらうために受ける試験)を目標にするには遠すぎるし、普段の期末試験だけでは張り合いがないし。
 そんな時にStep1の対策をしている先輩の話をちらっと聞いて自分も少しやってみようかと、興味を抱いた。同級生に声をかけて、問題集を分担してやってその回答、解説をつくるという勉強会をやりはじめた。

 まだその頃は、これから待ち受ける充実しつつも凄惨な日々を予想するすべはなかったのだが・・・

ローマ人の物語

塩野七生の「ローマ人の物語」

同級生のT君に借りて、読み始めた。まだ第3部「勝者の混迷」前半までしか読んでいないが。

~戦争は正義と悪を生むのではない。勝者と敗者を生むだけだ。~
~天才とは新事実を創造するのではない。誰も気づかない旧事実に気づける者のことをいう。~
~知を尊ぶ。しかし溺れることなしに。富を追求する。可能性を保持するために。しかし、愚かにも自慢するためではなしに。~
人は歴史から学ぶべきことはまだまだあると思う。

自分は理系なだけになるべく歴史や経済などの本に積極的に手を出していきたいと思う。最近は教科書や医学書を読むのに追われて、一時に比して読書量は激減したが。学生のうちになるべく長編の本に手を出していきたいと思う。

今日からCD-ROMによる読影シュミレーション、CT免許皆伝とMRI免許皆伝を図書館から借りた。
自由度の高い実習も、じっくり医学書が読めて充実していいかも。

2009年4月14日火曜日

フェルソン

「フェルソン 読める!胸部X線写真」

 2009/4/13~4/14で読んだ。Felson's principle of chest roentgenologyの訳本。
 初学者にとっては穴埋め形式のプリントを読んでいるようで、読破しやすかった。
 1965年に大部分が書かれている。一部CTなどの登場で改訂されて追加されてはいるが、根幹は変わっていないとのこと。医学の進歩が早く、今学んでいることが10年後には古くなって役に立たないと言われているが、基礎の基礎である部分は時が流れても著変しないと痛感する。今学ぶべきは、そんな基礎の基、土台となる部分だと思う。

 先週末参加したセミナーで「医者が終生勉強できる幸せな職業だ」と言われた。そこまでの覚悟が自分にあるのか、自問自答してしまう。

・・・次回は「ローマ人の物語」についての感想の予定

序に代えて

とりあえず、書き出すことにした。

いろいろと整理してから、まとめて書こうとしていたが、まとまるのがいつになるかわからなかったからだ。どんどんやることが、増えていき、これまでの整理と情報発信の優先順位(priority)がいつになっても上がってこなかった。

目的は
①自分自身の整理としての日記的位置づけのため
②今まで、そして今もお世話になっている方々と疎遠になりすぎないため
③まだ、そしてこれから会うであろう方々の少しでも足しになるため

どこまで続くか不明だが、この駄文を読んでもらえる人に感謝!!