2010年1月1日金曜日

教養主義の没落

教養主義の没落 変わりゆくエリート学生の文化 竹内洋

教養主義は、大学進学率の少ない時代においては農村と都会の差別化をはかるために形成されていた。
その後、ほぼ皆が大学に進学するようになり、大学は社会人の予備段階としての機能を必要とされ、教養主義は昔ほど必要とされなくなった。

「文化の作用として「適応」「超越」「自省」がある」
「適応」:実生活に役立つ、実利主義
「超越」:理想主義、現実とは距離をおく
「自省」:自らの妥当性・正統性を疑う、超越性を相対化

教養主義の凋落を嘆く書籍かと思っていたが、最後にこれからの教養主義は書物からのみならず人間関係の中で学んでいくものになっていくだろうという結びが印象的だった。

去年の理系シンポジウムでも大学の機能として「適応」vs「超越」の構図が端々に見受けられた。