2010年3月21日日曜日

第9回自然科学研究機構シンポジウム

「ビックリ 4Dで見るサイエンスの革新」
に参加してきた。

今回初の参加であったが、リピーターの方が多く、満足度の高いシンポジウムであることがうかがえた。
プログラムコーディネーターがT.T氏なだけに科学者からVFXクリエーターまで幅の広い方が演者として呼ばれていた。科学者の方もプレゼンテーションがうまい方ばかりで、自分でもこの手法を取り入れようと、密かにメモを取ってた。

うまいプレゼンテーション
・演者自身が楽しんでいて、自分の知っている面白いことを伝えたいと思っている
・スライドは文字は最小限で、視覚的に訴える(特にイメージング関連の方ばかりだったからか)
・テンポがいい

以下内容についての要点
イメージング化(可視化)して言語が違えでも伝えられるようになる。
科学者の作るイメージングは科学的に正しく、かつわかりやすく楽しめる、ものを目指す。
分化は辿るのは大変だが、遡るのは比較的簡単。
ミクログリアは正常ではシナプスに対して1時間に1回5分間の接触・監視を行う。
ペナンブラ(Penumbra、脳梗塞周囲の損傷した組織)では頻回・長期にモニターする。
宇宙は膨張し続けており、構成成分の80%はダークマター。
細胞分裂の際には捻れ方向の力も加わっているらしい。
手書き+物理法則のシュミレーション=VFX
映画の20-60%はVFX(視覚効果)に回されるのが相場らしい。

パネルディスカッションでは
科学者の評価が論文のみでイメージングなどのアクティビティは評価されない。
日本ではイメージング技術として産業が成りたってしまっているので、サイエンスに繋がりにくい。
日本は要素技術は強いが、システムが弱い。ビジネスモデルまで育てられない。
短期的には企業秘密にしておいた方が利益はでるが、共有する風潮がコミュニティにあると全体の発展につながる
イメージングで他分野や一般の方にわかりやすく伝える→そのためのある程度の時間・金を投資する。
事業仕分けが若手科学者に精神的な頭脳流出に向けさせてしまっているとT.T.氏は危惧していた。

自分も前の大学で画像処理をまがいなりにも学んでいたので、かなり親近感を覚えた。
以前取り組んでいたことに近い分野の話が聞けると、昔の旧友の近況を聞けたような不思議な感情が沸き起こってくる。ホッとするような、底にしまい込んだ情熱が沸き上がってくるような。

まとめると
・どこも長期のビジョンを示して牽引していくリーダー不足
・他分野との交流で新しいものが生まれる

朝から夕方まで缶詰で、前日までの疲れも溜まっていて結構きつかったが、足を運んだ価値のあるシンポジウムであった。

久しぶりに違う業界の方からの話を伺えて、インスピレーションを受けた。
将来、医師支援ツールを開発したい衝動に駆られた。
・ベッドに患者がいるか確認できるシステム
・一日の検査データが出揃ったことを通知するシステム
・カルテを音声で入力できるシステム
・検査結果から予想される身体診察所見が確認できるシステム
など
どれも技術的には決して難しくない。そしてあれば、慢性的なスタッフ不足の中で、無駄をはぶいて、パフォーマンス向上に役立てられるだろう。
医学の中でアートとされる技術や分野も、少しでも後進に効率的に伝えられるように、イメージング・デジダル化・定量化できれば。

来年の第10回も3月までに開催してもらえればぜひ参加したい。
とりあえず、MITAKAをダウンロードした。
http://4d2u.nao.ac.jp/t/index.php